日記

無職が1,600万円の預金証明書で賃貸契約しようとしたけど

無職で賃貸契約可能なのか

無職は賃貸契約が難しい。そんなことは聞いたことがあったが、実際はどうなのだろうか。これは私の体験談だ。

賃貸探し自体は退職前の有給休暇期間にはじめた。したがってわざわざ無職になるということを伝える必要もなければ、現に正社員であったので、普通に賃貸探しをすることもできた。

ただ、今回引越し先の第一候補として考えていた町が現在住んでいる町から100kmほど離れていて、転居理由の説明の必要性が生じた。大きな会社であれば転勤ということでなんとかごまかすこともできそうだが、私が働いていた会社は支店のようなものがなかったので、思い切って無職になる予定だと伝えてみた。

まず、スウモでよさそうな物件を探して二つの不動産会社に問い合わせを入れた。どうせ最後には無職になる説明が必要であることがわかっていたので、予め無職になる予定だとフォームに書き込んでおいた。

しばらくすると、電話が鳴った。見学日の確認と、本当に無職でなんの予定もないのかと聞かれ、そうだと答えた。不動産会社の営業担当によると、大抵の物件は個人の大家でなく管理会社が経営しており、それらはまず無職とは取り合ってくれないらしい。そのため、選択肢はかなり狭まるとのことだった。ただ、たまたま私が良いと思った物件は数少ない個人大家管理物件で、交渉の余地があるそうだ。

念の為、大家に無職でもよさそうか事前に確認してほしいとお願いしたところ、電話を切った10分後くらいにまた着信があった。大丈夫ですとのことだった。その物件が一番良さそうだったので、もうそこを見学して良ければ契約しようと考えていた。

しばらくして、もう一社から電話がかかってきた。こちらははじめからかなり厳しい口調で、無職で賃貸契約はかなり難しいとのことだった。私が候補に上げた物件を含めて一応来てくれば相談に乗るとのことだった。この対応の感じだと、そもそも取り合ってもらえなさそうに思えたので、第一候補に行って時間があれば立ち寄る程度に考えていた。

物件見学の準備

不動産見学に行く前日、無職の賃貸についてネットで調べてみた。やはり無職では賃貸契約は難しいとの記事が目立っていた。しかし、契約できるケースもあるようだった。

一つは複数の連帯保証人を立てること。本人の信用がないぶん、もうひとり保証人を立てて補填するということだろうか。両親両方ということができるのかわからないが、まあお願いされたらそうすればいいかと考えていた。

二つ目は預金証明書の提出だった。金額は書いてあるサイトによって様々だが、賃料の一年分くらいが目安のようだった。私が新たに借りようとしている物件の月額賃料から考えると一年分ならだいたい50万円だ。その程度の金額であれば準備可能だったので、預金証明書の準備を進めた。

預金証明書はネット銀行であれば案外簡単に発行できる。ネット銀行の口座にログインし、数クリックすれば発行可能だ。手数料もかからない。

その口座にはだいたい1,600万円くらい入っていたので金額的には問題ないだろうと思った。ただ、金額的に多すぎて逆に怪しい組織の人間だとか勘違いされそうなので別の口座に少し移そうかと思ったが、わざわざまた移し替えすのもだるいので、そのままでいくことにした。

もし提出を求められたり、信用不足の際のゴリ押しに使おうと考えてPDFとしてダウンロードしてクラウドサーバーにあげておき、いつでも提出できる準備を整えた。

最後の最後で

部屋の見学当日。不動産屋は土曜日ということもあり非常に混雑していた。いっぱいに埋まったカウンターがちょうど一つ空き、そこに通された。お茶を出してもらい、担当営業が来るのを待った。

カウンターの両隣の間隔は非常に狭く、隣の会話もはっきりと聞こえるくらいだった。盗み聞きをしようとしたわけではなかったが、わかったのは隣の若手は大手酒造メーカーの社員で、転勤に伴う転居を検討しているようだった。もちろん賃料は会社持ちで、家賃は基本的に1Kか1LDKならばどこでも考える必要がないような口ぶりだった。これが大手会社員のブランド力というやつか。あまりに自分と違いすぎる。

反対側は結婚後すぐのカップルの新居探しで、ほのぼのとしたムードだった。子供ができることを考えて2LDKにしようと話していた。いい話だ。あまりに自分と違いすぎる。

その差を感じながらまだ時間があったので、店内を見回してみた。誰が出勤していて、どこに出張に出ているかをあらわすホワイトボードがあった。上から順番に偉い人のようだったので、店にいる営業の顔、名札とそのボードの名前順を見比べて、自分の観察眼の精度の確認をする遊びをしながら時間をつぶした。中間所管理職のあたりはどちらがが上か下か外すこともあったが、ほぼあっていた。席順も社内の階層をあらわしていて参考になった。

その暇つぶしをしながら気がついたのは、営業の男性社員は全員パーマをかけていたことだ。スーツのよれ具合から、あまり容姿や外見に気を使っていなさそうな人でさえも、頭髪だけはきめていた。不動産屋は、野村證券のオールバックのようにパーマを掛けるのが義務なのだろうか。

さて、余談が続いたが、その後しばらくして担当営業がやってきた。事情は説明済みだったので話は早かった。見学にすぐに行くことになった。車に載せてもらい約10分もすると物件に到着した。部屋は想像よりもずっと良かった。割と広めの道路に面していたので、車の音が気になるかと思ったが、ガラス窓は二重構造で騒音はほとんどなかった。また南西の角部屋ということもあり、太陽光はしっかりと入りとても気持ちがいい。

こういった決断は、割と時間をかけたいタイプではあるが、時期も時期ですぐ別の人が契約してしまいそうだ。えいやで、もうここに決めることにして賃貸申込書にサインをした。この申込書は実質意思決定のようなもので、慣習上あとからキャンセル事は許されないものらしい。

無事決まり、もう一つはキャンセルの電話を入れて帰ろうと思っていたら営業が小走りでこちらにやってきた。もう一度聞いたら無職だとだめらしいですとのことだった。話が違うのでもう一度掛け合ってほしいとお願いしたが、やはりだめだった。無職の信用はやはりない。

預金証明書でひっぱたく

今こそ預金証明書の活躍のチャンスだと思い、十分に預金があり、家賃も一年分先払いするからなんとかしてほしいと頼み込んだ。いくら位の預金があるかと聞かれたので、1,600万円と答えると対面の営業も隣の客もぎょっとした目で私を見つめてきた。

証拠として、営業のメールアドレスに約1,600万円の預金証明書を送った。確認後再度、大家と交渉したがそれでも結局ダメだった。本当に信用がない。

継続的な収入が賃料を支払う以上重要であることに疑いはないが、現金で確実に支払うことができるのに、それでも拒否されるのには驚いた。むしろ、私の住んでいる田舎の中小企業で勤めながら、一人暮らしで、滞りなく賃料を支払うことのほうがよっぽど難しいことだろう。失業しているのにとりあえず金だけあるのが、不気味さを演出してしまったのかもしれない。

結局どうしてもだめで、不動産屋をあとにした。1時間後にもうひとつのあたりが強めの不動産屋との見学会があったが、一つ回っただけで精神的に疲弊してしまい、とりあえずあてもなく散歩にでかけた。ただ、さすがに歩き続けるわけにもいかなかったので、時間をとりあえず潰すために公園に向かった。

大きめの公園にはたくさんのベンチがあり、とりあえずそこで休むことにした。近くでは大きめの音楽をかけてダンスの練習をする学生や、たむろして酒を飲んでいる老人、自分と同じように宙を見てため息を付いてまた地面を見ることを繰り返している人もいた。

まるで自分は、失業して会社に行くふりをして公園で時間を潰している元サラリーマンのようだと思った。というよりも、それにかなり近い。公園のベンチはなぜだか哀愁を感じさせるスポットだ。

しばらく何も考えずにぼーっとしていると、携帯電話に着信が入った。もう一社のほうだった。わりといけそうな方がだめだったので、こちらは更にきつそうだと思い、キャンセルすることにした。その後、ちょっとした用事を済ませて帰路についた。

無職の信用はなく、やはり難しい

今回の経験を通してわかったのは、無職の賃貸契約は基本的には難しいということだ。大家や管理会社によって違いはあるが、はじめから門前払いという物件のほうがよっぽど多いらしい。築年数がかなり経っていたり、空き部屋が多い物件であればまだ審査は緩いかもしれない。

結局100km離れた町への引っ越しは諦めて、まだ職場に籍がある状態で同市内のましな物件に引っ越しをすることにした。会社を辞めようと考えていてかつ、引っ越しを検討しているなら早めに動いたほうが良いだろう。繰り返すようだが、無職に信用はないのだから。

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