日記

雨の日の靴下は楽園。

先週の金曜日のこと。

いつもどおり定時ちょうどに会社を出た。ああ、やっと一週間が終わって休みだ。そう思うとホッとする。会社の敷地から出ると頭はすぐにお休みモードに切り替わる。

ところが、家へ向かう最初の信号を待っているときに、傘を会社に忘れてきてしまったことに気がつく。そこから会社までは3分程度で引き返すことができるし、戻ったからといって他の仕事が発生することもないだろう。だが、完全に切り替わった頭を、ほんの一瞬でも仕事モードに再度切り替えるのは嫌だったので、そのまま帰宅することにした。

そして、今日は月曜日。

日曜日の夕方から天気が崩れていたので、もしかしたらまずいかもしれない。そう思って少しだけ早く起床した。外の様子を覗こうと玄関の扉を開けてみた。案の定雨が降っていた。ぽつぽつというよりはざあざあに近い雨で、徒歩通勤の自分には堪えそうだった。傘は会社に忘れていた一本しか持っていない。走っていってもびしょぬれで風邪を引いてしまいそうだ。唯一の雨をしのげる所持品は登山用の合羽だけだったので制服の上にはおって出社した。

この合羽は富士登山にも使ったもので、防水性能は申し分がなかった。全く染みないし、蒸してベタつくこともなかった。もしかしたら傘よりもいいくらいかもしれない。

ただ、靴は合羽ではカバーできない。もちろん傘だって靴を完全に守ることはできないだろうが、合羽は完全のノーガードだ。降りしきる雨が直接靴にあたり、じんわりと、徐々に確実に、雨粒が靴を湿らせていく。替えの靴下でも持っていけばよかったのだが、なんとかなるだろうと思って準備はしなかった。

10分程度歩いてようやく会社に到着した。歩くたびにぐじゅぐじゅ音を立てるほどに靴は濡れていた。

ほっておけば乾くだろうと思って、過ごしていたがいつまでたっても乾く気配がない。かかとからつまさきまでしっかりと濡れている。少し歩くと熱を持ち、妙な暖かさを帯びる。足湯のような心地よさではなく、嫌な感触は変わらず続いたままだ。

だが、この湿度の高さと、人体よりも少し暖かい温度、これは細菌の類にとっては最適な環境ではないだろうか。詳しいことは知らないがきっとそうだろう。いったいどれだけの細菌たちを培養したことだろう。

帰宅後の靴下の匂いはそれはもう格別だった。心地よい臭さを遥かに超える激臭だった。今晩をそのまま越すのは危険そうなので、さっと洗濯機を回すことにした。

幾多の文明が生まれては消えるとの同じように、こうして楽園は滅びるのだった。

滅びるよね。

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