どうしてコロッケを好きになったんだろう。俺とコロッケの歴史。
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子供のころの俺とコロッケ。
コロッケってみんな食べことがあるよな。じゃがいもだけのシンプルなものがあったり、コーンクリームや蟹クリームコロッケがあったりなんかしてバリエーションがとても豊富だ。自分で作るのは手間がかかるが、スーパーや惣菜屋なんかには大抵置いてあるので、食べたいときにはすぐに手に入る。
そんな庶民の食卓を支えるコロッケではあるが、子供の頃はあんまり好きではなかった。しかし、最近になってコロッケが好きになってきた。一体俺とコロッケの関係になにがあったんだろうか。俺が変わったのか、コロッケが変わったのか、それとも両方か。
コロッケが子供の頃に好きでなかったのは、まず味に原因があったと思う。よく実家で食べていたコロッケは、スーパーで売っている格安品だった。一個たぶん4,50円そこらのやつだ。具材はなんだったんだろうか。たしかじゃがいものみだった気がする。ころもは時間が経っていたこともあり、サクサク感はなく使い古された油の嫌な匂いがしていた。ぎりぎりごまかすために、オーブントースターでチンすると多少の食感の改善は見られるが、味自体が変わるわけではない。結局まずいコロッケのままだった。
おそらく味だけが理由というわけでもない。コロッケがご飯のおかずのような扱いで出てくることがあった。もちろん、白米とコロッケだけということではないが、メインのおかずが少ない時にそれを補うがごとくしてコロッケが添えられていた。だが、コロッケはご飯のおかずたりえない。どうして炭水化物と炭水化物をセットで食べてよしとできるのか。焼きそばパンもコロッケサンドもあるが、邪道も良いところだ。特に育ち盛りの若手の頃に、そういった弱いおかずが出てくるのは堪えた。
そのコロッケの立ち位置もさることながら、あの手抜きされた感じが引き立つのも良くない。今となっては真実は分からないが、もうめんどくさいし量が足りない分は適当にコロッケでも買って誤魔化そうというその雰囲気もよく思っていなかったようなきがする。
そんな様々な理由の複合で、実家にいる頃はコロッケがずっと好きではなかった。
社会人になった俺とコロッケ。
社会人一年目は会社の寮で生活していた。別の記事で書いたとおり、酷いストレスで味も何もなく暴飲暴食をしていてコロッケのことなんか考える余裕もなかった。おそらくその頃にはコロッケがどうのこうな考えられるようなのほほんとした状況ではなかった。
(社会人一年目の頃の話はこのあたりに詳細あり。自殺を思いとどまった経験とその後の死生観 - Zico39のいろいろ)
一年とそこそこで新卒で入社した会社を辞めて、別の会社で働くことになった。今度は寮がなく一人暮らしだ。初めての一人暮らしだった。それまでほとんど料理などやったことがなかったので、最初の一年くらいはほとんど外食と買食(スーパで弁当や食材を買うこと)で済ませていた。米もたいていない。食費はそれなりにかかっていたんだろうと思うし、食にそれほど興味もなかったのかもしれない。新たな組織に属すると生活環境が一変し、それに対応するのにやっとだったんだろう。
二年目以降はたまに料理をするようになった。余裕が出てきたんだろう。食材も少しこだわるようになり、自分で作らない場合でも多少は良いものを食べるようになっていた。近所にはいくつかのスーパーがあり、惣菜コーナーも充実していて、好き放題食べたいものを食べていた。おそらくそこにもコロッケはあったはずではあるが、悪い印象が頭に焼き付いていたせいなのか取ることはなかった。あのスーパーであれば値段も極端に安くない、適切な味が担保された適切な価格だったはずだ。それでも、悪印象というのは拭えなかったのか、それとも単に食に対しても保守的にいつものおいしいやつを好んで選び続けていのかはわからない。とにかくコロッケには目もくれなかった。
しばらくして二社目の会社も辞めて、無職となり実家に戻った。まだコロッケ文化は生きながらていた。スーパーバローの40円位のやつだ。やっぱりおいしくない。改めてコロッケは好きではないなと感じた。子供の頃と違い、別に食べたくないものに関してはいらないと言えるようになったのでほとんど食べることはなかったが、時折食べそして変わらないなと思った。
今の俺とコロッケ。
無職生活の終わりとともにまた一人暮らしの生活が戻ってきた。幸いなことに家から近くにはスーパーが複数あり、惣菜屋もある。引っ越してきたばかりの頃、惣菜屋ではよくトンカツを買っていた。上げてからしばらく時間は経っているようだが、それでもサクサクでおいしかった。効果はあるのかわからないが豚肉のビタミンBでやる気を出そうという意図もあった。思い込みかもしれないけど、トンカツ食べるとやる気って出るよね。エネルギー、それと思い込みって大事だ。
そのトンカツコーナーの一角では、コロッケも売っていた。今までだったらまず手を出さないが、このお店なら格安品とは違う味かもしれない。そんな期待をいだきながら、まずはコーンクリームコロッケから攻めることにした。やはりプレーンは敷居が高い。ただのコロッケでおいしさを演出するよりも、ずっと簡単に失敗がなさそうな、いわば安全策を取ってコーンクリームにした。
コーンクリームコロッケは期待通りのおいしさだった。サクサクの衣、つぶつぶで歯ごたえのあるコーン、クリーミーさ。
うん、これならただのコロッケも美味しいのかもしれない。そう思って、コロッケを買ってみた。これもおいしかった。じゃがいもと少しのひき肉が入っている。冷めていてもそのまま食べられる。やっぱりコロッケの味自体が大事なんだと思った。しばらくその惣菜屋ではいつもコロッケも買っていた。そうしているうちにだんだんとコロッケが好きになっていった。
惣菜のレベルは落ちるがスーパーでもコロッケを買ってみた。どちらかと言うと安物に味は近いがそれでもおいしく感じるようになった。コロッケの苦手意識は今払拭された。好きな食べ物が、しかも安く手に入る食べ物ができたのは良いことだ。トンカツというまず安心な食べ物から入りお店の信頼を高め、コーンクリームの一歩を経て遂に、コロッケまでたどり着けた。
こうやって人は成長していくんだな。
俺はどうしてコロッケのことを書いているんだろう。