日記

賃貸事件で起こったことの詳細と伝えたかったこと

あの賃貸のできごとから2ヶ月

10月ですね。寒くなってきました。毎年のことですが、10月に入るとぐっと気温が下がってサンダルで外を出歩けなくなり、季節の移ろいを感じます。

さて、今から2ヶ月前。夏の日差しが厳しかったあの頃。私は、賃貸退去にかかる費用をめぐり、とある経験をしました。その状況をTwitterに投稿したところ想像以上の反響がありました。それが以下です。

短くまとまっているので、上記つぶやきだけでもだいたいの様子はつかめるのではないかと思います。要するに不動産屋さんにふっかけられたけど、交渉したらある程度の金額に収まったよという話です。

ツイートした瞬間からリツイートが止まらず予想以上に世間からの反響があり驚きました。そして今でも毎日休むことなく休むことなくリツイート、いいねされ続けています。

Twitterでは本件に関して、さらなる状況説明として以下のツイートもしました。

これが当時Twitterで公開したできごとの全てでした。その後、不動産屋さんの名前を公共の利益のために晒せだの、裁判を起こせば勝てるだの、もっと詳しく教えてほしいだのと様々なリプライがありましたが、それらには一切返信していません。なぜならば、そのいずれもが私の望むものではなかったからです。

Twitterは字数の制限があるのと、当時配信の通知くらいで使っていて詳細は記せなかったので、ここに備忘録的に何が起きたのかを書いていきたいと思います。それを踏まえた上で何がこのツイートから言いたかったのかも改めて書こうと思います。

賃貸退去費用交渉の詳細

賃貸立会い確認の前日

部屋は個人でできるレベルで清掃が済んでいた。

しかし、経年劣化を考慮してもそれ以上の汚れがついてしまっている箇所もあった。フロアマットの大部分と壁の一部の汚れは私自身の過失によってできたものだった。したがって、これらに関しては請求があれば支払う覚悟ができていた。その金額の算出式はツイートにある通り耐久年数が考慮されるべきものであるので、もし万が一相手がそれを無視してきた場合は、その点に関しては指摘をして交渉をしようと決めていた。なぜならば、耐用年数を考慮した場合と無視した場合には費用に大きな差額が生じるからだ。6/6か1/6で済むのかというのは極めて大きな金額の差になりうる。

また、壁紙に関しては基本的に汚れていて仮に一面全面を張り替える場合であっても、汚れが1平方メートル以内のものであれば壁紙代金は1平方メートルの料金を支払うべきであることがガイドラインに示されていて、かつ、裁判の判例もある(と記憶している)。そのため、もし面単位で請求が行われるのであれば、その点に関しても交渉をしようと決めていた。この点に関しては、実は契約書内に壁紙の代金は面単位で行うと書かれているが、一般的に消費者に取って一方的に不利となる契約条項は特別な事前通知、例えば賃貸契約時にその点を強調して説明をして契約を結ぶ、などしなければ裁判では無効となる。もちろん本件においてもそのような説明通告はなく裁判に持ち込めば勝てるだろうと予測していた。

この程度のことを事前に理解していた。また、裁判を起こすことも想定していたので、カメラとメジャー(汚れの大きさ測定のため)の用意を念のためしていた。

これらは、一般的に必要とされる準備で不動産業界の色を知っていれば当然しておくべきことだろう。

だが、知識や物理的な準備だけでは交渉は成り立たない。交渉というのは、相手とのやり取りを通して最大限に自分の目的を達成するために必要なプロセスだ。交渉をするのにおいて、何をおいてもまず自分自身が今回の相手先との交渉で、何を成し遂げたいのかを明確にする必要がある。

もちろん、まず思いつくのは返還金の最大化ではあるが、それだけではない。自身の労力の極小化も同様だ。裁判を行うことや、立ち退き後にも不動産屋さん並びにお役所さまとやり取りを繰り返すことの時間的な拘束と心的な苦痛は耐え難いものであろう。

ただ、簡易裁判を起こすということは人生経験としてあって困るものではなかったので、もし万が一耐用年数のガイドラインさえも無視するのであれば裁判を起こすことも同時に決めていた。1平方メートルの計算については、仮に全面であっても耐用年数が考慮さえされれば大した金額にならないので、その場の状況、条件、金額を総合的に判断して決めようと考えていた。裁判を起こすラインは大方決まっていた。その条件下で、最大限に金額の返還を目指すのが今回の交渉の到達点として設定された。

賃貸立会確認の当日

日差しが燦々と輝く午前10時から立会確認は始まった。スーツを来た営業マン1名と作業服の確認員1名の合計2名が入ってきた。

部屋の隅々を確認していく2人。壁の汚れに関しては営業マンの方から指摘された。その分に関しては請求を行うと言った。これは当初から理解していたものだったので、わかりましたと私も伝えた。続けて、営業マンはこう言った。契約書に書かれている通り、壁紙は一部が汚れていても全面張り替えになるので全費用を請求します。この請求は前述したとおりガイドラインに照らし合わせて考えれば不当なものである。

しかし、私はここで敢えてガイドラインの話は持ち出さなかった。理由は2つ。

  • 1つは、ガイドラインを知っていることによって相手の警戒心が上がることを恐れた。警戒心が高まっていると、普段より取り分が減ることを恐れて過剰に請求を最初からしてきて、例えば細かな汚れに関しても厳しく指摘をして修理の必要性を訴えって利益の確保に走る可能性がある。このような一般的に汚れているかどうかの基準は明確には存在しないので、もし業者との言い合いが続けば最終的には裁判所の判断に頼らざるをえず、それは私が当初設定したゴールから外れるものであるので、できるだけ何も知らないカモを装うほうが後々有利になると踏んだ。
  • もう1つは、当初の目的設定でも書いたようにこの部分に関しては譲歩してもそれほど大きな影響が出ないことを理解していたからだ。

そのまま部屋の確認は進んでいった。壁紙と床以外には特に問題は見つからなかった。

電卓を弾く営業マンが費用の算出を終えて私のところに向かってきた。費用は、Twitterの画像に載せたとおり耐用年数が無視されているものであった。当然このラインは私自身が受け入れられないものなので、それを伝えて即座に修正された。

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Twitter上ではここで終わりだが、実際はそうではない。この話には続きがある。

確かに結果として返金までたどり着けた。ただ、当初の目的である返金額の最大化は果たして達成できているのだろうか。ここから更に壁紙の面積を指摘すればまだ返金額は増やすことができる可能性が高い。しかし、それを指摘することによって労力の極小化とのトレードオフ(労力はその分増す)になることも十分考えられる。

そんなことを考えている最中、営業マンからもうこれ以上の請求はありませんのでサインをしてほしいと急かされた。今まで急ぐ素振りさえ見せていなかったのに、この変わりようには違和感があった。この締結を急かすのは、それが営業マンに取って利益があることに違いないと私は感じた。つまり、他の過請求の部分を指摘される前に早めに交渉を閉じようとしている。そんな風に見えた。

一般的な交渉で相手が押し切ろうとしてきているときには、それが相手にとって有利な選択であり、反対する(このケースでは面積の指摘で長引かせる)のが定石で私にとっては有利だろう。

しかし、私はその要求を受け入れた。

理由は3つ。

  • 第一に、面積計算をしたところで変わる金額はおおよそ4千円程度で金額の最大化はできても労力の極小化と背反になりうる以上、大きなメリットを感じなかった。
  • 第二に、その場の交渉が長引くことによってより慎重な部屋点検が行われることを恐れた。前述の通り、相手は2名で立ち会いに来ている。その場での会話が長引くということは、すなわち部屋の確認時間の延長につながり兼ねず、当初見つけられなかった何かを発見しうる。もちろん私が、意図的に過失があった部分を隠していたわけではないが、見えづらいところに何らかの過失が見つかる可能性は0ではない。そして、それは余計な費用の追加につながりうる。返還金の最大化に反しうる。
  • 第三に、さらなる交渉によって営業マンが戦闘態勢に入るのを恐れた。私同様に営業マンも交渉のゴールを持っている。彼の守りきれないラインに踏み込めば、それなりの反応が返ってくることも考えうる。相手は住宅のプロだ。例えば、裁判であったり、詳細な調査であったりだ。これらはどちらが起きたとしても、返還金額の観点から見れば優位なまま押し切れる内容であろうが、労力の極小化に反しうる。

また、相手にも一定の満足感を持たせることも重要だろう。今回相手は、減りうる利益を私にサインさせることによって守りきったわけだ。当初のゴールとは異なるが、ある一定のラインを守れたと感じているはずだろう。賃貸立会はここで終わりだが、振込が私の口座に入ることが最終地点だ。心象は悪いより良い方がいい。その後の仕事の進行に関わりうる。

これらを考慮し私も契約書にサインをした。以上が詳細だ。

Twitterに書いたのは、当たり前のレベルでするべき準備で、それはただの道具であり、今回のできごとの本質ではない。それにも関わらず、道具を用いた事実のみが走っているの見て表現の難しさを私は感じていた。

私が当初伝えたかったこと

私が当初伝えたかったこと

私が当初伝えたかったことは単純明快で、以下の連ツイートに凝縮されている。

そのまんま。こんな面倒なことを生きているだけでしないと、自分を守れないとか本当にだるいわ。ただ、それが言いたかっただけだ。いちいち細かいことを考えて利益を守ろうとする性格のせいでもあるので、それを嘆いている部分もあるが、そこまで読み取ることを強要するのは良くなかろう。この生活をするだけで生じる倦怠感に同意を求めていた。ただそれだけだった。

Twitterの字数の関係もあるが、事実と感情を1つの塊にすると状況が伝わりづらいのではないかと思い、別のツイートに分けてしまったがそれが良くなかった。

この程度のふっかけは不動産業界では当然のように行われているし、他の業界でも詐欺まがいの行為などいくらでもある。それらと付き合っていくしんどさ、だるさを感じてほしい。そして、それを感じ取った上で、あるよなぁとか、大変でしたねくらいの反応で良かったんだ。

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