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日記

まだ記憶に残っている学生時代に読んだ面白い本の紹介

本を読んでも大抵は忘れる。その本の内容を忘れるもこともあれば、読んだことさえ忘れることもある。一方で、時間がたっても覚えているものもある。面白いと思ったものは、やはり覚えている傾向にあるだろう。

学生時代から約10年たった今でも印象に残っている本は、その当時から今に至るまで、自分の考え方や生活に影響を与えていると思う。今回はそれらの紹介をしていきたい。

Contents

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

大学生時代、論理的に考える能力が今後に人生において最も重要だと考えていたようで、大量の論理にまつわる本を読んでいた。自分のAmazonの10年前の購入履歴を見て驚いた。

注文商品価格
1 点 考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則, バーバラ ミント (著), et al
販売: Amazon Japan G.K. 

¥ 2,940
1 点 考える技術・書く技術 ワークブック〈上〉, バーバラ ミント (著), et al
販売: Amazon Japan G.K. 

¥ 1,680
1 点 考える技術・書く技術 ワークブック〈下〉, バーバラ ミント (著), et al
販売: Amazon Japan G.K. 

¥ 1,680
1 点 ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル (Best solution), 照屋 華子 (著), 岡田 恵子 (著)
販売: Amazon Japan G.K. 

¥ 2,310
1 点 戦略「脳」を鍛える, 御立 尚資 (著)
販売: Amazon Japan G.K. 

¥ 1,680
1 点 斎藤嘉則の現場イズム, 斎藤 嘉則 (著)
販売: Amazon Japan G.K. 

¥ 1,680
1 点 ロジカル・ライティング (BEST SOLUTION―LOGICAL COMMUNICATION SKILL TRAINING), 照屋 華子 (著)
販売: Amazon Japan G.K. 

¥ 2,310
1 点 仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法, 内田 和成 (著)
販売: Amazon Japan G.K. 

¥ 1,680
1 点 地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」, 細谷 功 (著)
販売: Amazon Japan G.K. 

¥ 1,680
1 点 新版 論理トレーニング (哲学教科書シリーズ), 野矢 茂樹 (著)
販売: Amazon Japan G.K. 

¥ 2,310

なんと一度の注文で合計で2万円以上を論理関連の本に費やしている。よほどのコンプレックスを持っていたのか、意識が高かったのかもはやわからないが、異常なまでの執着を見せている。これは一度の注文分だけで、他の注文も合わせると5倍くらいに膨らむ。更に図書館も活用していたので、実際はもっと読んでいたと思われる。

この中でも最も記憶に残っていてかつ、その後役に立ったのは、バーバラ・ミント著の考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則だ。

いかにして論理的な文章構造を作り上げるのかが、豊富な例文と例題と共に解説されている。論理の構造をピラミッドに例えて、頂点にある結論を、なぜ、どのようにしてなどの土台から導き出していく手法だ。学生時代のレポート製作にも役立ったが、それ以上に社会人になってから使える内容だった。

例えば、報告書や、製品紹介、社内・客先に対するメールと事務系の会社員は文章を書く機会が多い。その際に、どれだけ短く正確に要点を伝え、説得力を持たせられるかというのは非常に重要だ。メールや打ち合わせばかりしていた自分のような人間にとって、業務の面から言えばこの本が一番よかった。

この技術の良さをより実感できるのは、コミュニケーションを取る相手も同じ技術を持ち合わせているときだ。その場合、話の進め方や内容の展開の仕方に共通のプロトコルがあるので、途中で論点が変わったり、議題が予測がつかないような方向に流れていってしまったりして、打ち合わせと称した雑談にとなることはほとんどない。代表的な例として、結論から話しはじめて、その結論を裏付ける情報が後に続くスタイルがあげられるが、そのようにして書かれた文章(または口頭での説明)は慣れると更に理解しやすい。文頭の結論を読んだ時点で、次にその裏付けが始まると予測できていると、内容がすっと入ってくる。

ただ、この論理的な文章や話し方というのがコミュニケーションにおける万能のツールかといえばそうではない。裏付ける情報を先に、それも詳細に説明してから、ようやく結論に至るスタイルを好む人たちも世代を問わず一定数いる。そういった人たちに対して、自分の信じるロジカルスタイルを押し付けても、内容が伝わりづらいこともあった。自分の伝えたい内容を整理するときにこの技術が役に立つことは間違いないが、いざ伝える際の手法は結局相手に合わせるほうがいいというのは後に学んだことだ。

大学や仕事で文章を書くことが多くいのならば、一度読んでみると良いかもしれない。1999年に出版された本でありながら、Amazonのビジネス文書カテゴリでベストセラー1位に君臨している(2019/03/20)。

経営戦略の論理 〈第4版〉―ダイナミック適合と不均衡ダイナミズム

大学時代には、経済学とか経営学のようなものを学んでいて、たまたま手にとったのがこの本だ。経営戦略なんて大抵の人には、はっきり言って無関係と思える内容だし事実そうだと思う。だが、ちょっと待ってほしい。この本は無関係な人が読んでも面白いかもしれない。そう考える理由は大きく分けて二つある。

まず第一に、全体構成、各章、文章、全てが極めて論理的なところだ。内容も興味があったわけではあるが、それよりもその文章構成の美しさに魅了された。ちょうど論理にはまっていたころに読んだというのは大きいだろうが、数百ページに及ぶ内容が、きれいにピラミッド構造として積み上げられている。

経営戦略を構成するものが、いくつかありそれらが章ごとにまとめ上げられている。本全体に一貫とした論理的な文章のスタイルがあり、大変読みやすくもある。

二つ目は、この戦略論が企業戦略だけでなく個人戦略としても活用できるという点だ。経営学的な部分を省き著者の考える戦略を乱暴にまとめると、少し高めの将来のあるべき姿(目標)の策定と変化のためのシナリオがセットになったものとなる。戦略として成り立つ条件として、それを実現に近づけるシナリオが存在しなければならいとしているのが特徴的だ。シナリオというのは曖昧な言葉ではあるが、具体的な策(戦術)までいかなくとも、方向性や着眼点まで決めてどのように改善するのかまで練られたものであったと記憶している。

この企業のあるべき姿の作成、その達成までのプロセスは、ほぼそのまま個人でも活用できる。まず企業であれば目標の策定の前に現状を把握しなければならない。それは個人でも同様で自分が今、なにかやり遂げたいと考えていることに対して、どの位置にいるのかを認識することは必要だ。

次に、目標を設定する。この少し高めのというところが重要だ。以下は著者伊丹敬之先生の少し高めの目標を設定する、「オーバーエクステンション」についての記事だ。

昔から「カニは己の甲羅に合わせて穴を掘る」というが、この格言を今の日本企業には当てはめないほうがいい。穴とは戦略である。甲羅は自社の能力・資源である。今の日本企業はエセ理詰め経営がいきすぎて、「甲羅にぴったりした穴」にしすぎる傾向がある。それでは、穴の大きさが邪魔になって、甲羅が成長するための障壁になってしまう。カニの甲羅と企業の能力・資源は、ともに大きくなっていける。その能力成長プロセスを刺激するために、「思い切った」戦略、甲羅よりも大きな穴、が必要になるのである。


私はそれを昔からオーバーエクステンション戦略と呼んでいる。多少の無理を承知の背伸び戦略である。戦後の日本の高度成長期には、多くの企業がオーバーエクステンション戦略をとっていた。しばしば横並びで、自分がオーバーエクステンションをしているとも思わずに、やっていた。


オーバーエクステンションのよさの論理は、簡単である。背伸びした戦略を実行すれば、その実行プロセスで競争力の弱い場面が多少なりとも生まれてくる。そこで、競争の圧力の下で、現場でなんとかしなければという緊張が生まれる。それが、人々の学習を刺激する。そのうえ、現場での学習が一番濃い学習になる。結果として、企業の能力は伸びていく。そして、能力が伸びた後はじつはもともとのオーバーエクステンション戦略がもはや背伸びではなく、きちんと競争力をもって実行できる戦略となっている。

経営者よ、甲羅よりも大きな穴を掘れ (2/2) | プレジデントオンライン

企業という組織において、多少の背伸びが程よい緊張感を生み、それがより高いレベルでの学習や成果につながる。これは個人にも当てはまる。少し難しそうだから、工夫をしたり、事前によく調べたりすることにつながる。そして、ただ目標を立てっぱなしにするのではなく、そこに到達するまでのシナリオを書くのも個人での目標達成においても必要なことだ。中身のないただのスローガンを掲げても実現はできない。

なにかに取り組む上で最も大事な最初のステップはこの本から学べることが多くあった。英語の勉強はこの手法を活かしていたし、結果も出た。就活前までにTOEIC950点取れた英語の学習方法詳細はこちらから。

もちろん、この本は経営戦略の本なのでここで書いた内容は全体のほんの一部にすぎない。読み物としての面白さは人によってかなり違うかもしれないが、興味があればぜひ。私が読んだのは第三版だが、改訂があったので以下のリンクは最新のもの。

離脱・発言・忠誠―企業・組織・国家における衰退への反応

また硬そうな本だ。実際そうではあるが、これも面白い。この本もとても論理的で読みやすい。訳の上手さも、読みやすさの理由の一つだろう。

記憶は曖昧ではあるが、企業や組織、国家に対して不満のある個人がいかに反応するのかを「離脱」、「発言」、「忠誠」の3つのキーワードを用いて説明して、組織やその関連する組織に具体的にどのような状況が起きるのかを論じている本のはずだ。簡単にまとめると、今まで所属していた組織や買っていたものが満足できなくなれば退出や不買する行為を「離脱」、その一方で組織や生産者に声を上げて改善を求めるのが「発言」として表現している。

「忠誠」も同じような選択肢のごとくタイトルに並んでいるがそうではなく、これは離脱と発言のどちらを選択するかの決定されるときの指標だ(と思う。)。対象が信用でき改善が想定されるなら発言が選択されがちで、逆の場合は離脱が選ばれがちになることを、「忠誠」という概念で説明している。

面白かったということは覚えているが詳細までは記憶が無いので、どんな内容だったか調べてみると、経済学と政治学の橋渡しとなる偉大な本であるようだ。ただ、不勉強だった自分はそういった学問としての価値よりも、このシンプルに説明された人の行動法則に感銘を受けた。考えてみれば当たり前のように思えるかもしれないが、離脱と発言が自身の対象に対しての忠誠の程度に基づいているというのは、大きな発見だった。

この考え方は自身の最初の転職活動の際に、頭の整理をするのに役立った。

その当時働いていた会社に対して不満を持っていた(新卒で働き始めた会社に持っていた不満辞めた経緯の詳細はこちらから)。そのときに真っ先に頭に浮かんだのは辞めて別のところにいくという選択肢だった。その選択を好んでいることから、改めて自分自身の会社への忠誠の低さを理解することができた。発言をして改善されそうか自問した答えは、即ノーだった。

この本は個人レベルの行動だけを説明しているわけではなく、その選択から組織がどのように影響を受けるかという部分まで踏み込んでいる。このような形で個人レベルで参考にしているのは著者の望むところではないかもしれないが、それでも十分に役に立った。

ニーチェ入門

また硬そうではあるが、入門ということでだいぶとっつきやすそうだ。

文系大学生は暇と相場が決まっていて、私もそんなひとりだった。やることがない暇な時には、人生の意味とか価値なんかを考えがちだ。

はじめに無理をしてツァラトゥストラかく語りきという、ニーチェの代表作をただ訳しただけのやつを読んでさっぱりわからなかったので、入門書を探していた。そんなときに出会ったのがこの本だった。

まず印象的だったのは、世界にも人生にも意味がないという点だ。ただ、無意味だからと悲観的にならずに新しい自己を生長させていくべきだみたいな話だった思う。もやもやが晴れた気がする。

そのほかには、ルサンチマンという考え方も面白かった。

ニーチェのキリスト教批判における中心概念で、「恨み」や「妬み」を意味する。『道徳の系譜』(1887年)において、ニーチェは、キリスト教の起源をユダヤ人のローマ人に対するルサンチマンに求め、キリスト教の本質はルサンチマンから生まれたゆがんだ価値評価にあるとした。被支配階級であるユダヤ人は、支配階級であるローマ人の力強さ、能動的に生を楽しむこと、自己肯定的であることに対して恨みや妬みを抱き、このルサンチマンから、強い者は「悪い」、強くない私は「善い」、という屈折した価値評価を作り出した。この価値の転換はさらに屈折の度合いを深め、「貧しき者こそ幸いなり」ということばに代表されるような、弱いこと、欲望を否定すること、現実の生を楽しまないことこそ「善い」とする価値評価が生まれ、最終的にキリスト教の原罪の考え方、禁欲主義、現世否定主義につながっていった、とニーチェは考えた。

ルサンチマンとは - コトバンク

自分がなにかに嫉妬しているのにもかかわらず、相手を無理やり悪だと考えようとしているときに、ルサンチマンという言葉は思い出すと冷静になれる。

人生とはぁって思っている人におすすめ。

まとめ、とりあえずここまで

なんというか思ったより長くなったので、一旦ここまで。かしこぶって見える本ばかりになったが、思いつく順番で書いたらこうなった。

他にも数冊ありそうなので、また時間を見つけてリストアップしたい。みんなのオススメも教えてくれよな!

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