日記

就活はペーパーテストと変わらない-私の就職活動記

新卒の就職活動を振り返る

そういえば新卒時の就活についても読んでみたいと言われていたので、記憶を頼りに書いていく。もう既に10年前になるので、脳内で脚色された内容になっているような気もするが良しとしよう。シーズン的に言えば、ちょうど今、4月の中旬はもうほとんどの人が活動を終えており、若干タイミングを逃した感があるが、まあそれも良し。

自身の活動と照らし合わせながら読んでもらえると面白いかもしれない。これから就職活動を迎える人には、何らかの形で参考になることを願っている。

就活をしたのはこんな人、背景

まず簡単な自己紹介から始めたい。就職活動は当然ながらその人のバックグラウンドによって取り組みが大きく変わるからだ。私は静岡大学の人文学部経済学科に所属していた。Fランク大学ではないが、決して優秀な大学でもない中途半端な地方国立大学のひとつという位置づけだと思う。浪人や留年はなし。サークルやバイトなどは適当にこなしており、履歴書にかけるような「いい話」はなかったが、英語は得意でTOEIC 950点のスコアを持っていた。

英語の勉強方法については別ページにて詳しく書いているので、気になる場合こちらを参照のこと(高校卒業後からビジネスレベルまでの英語学習(詳細版:要20分) - Zico39のいろいろ)

好青年だったことも影響はあっただろう。当時の就活写真を見てみよう。うん、好青年だ。信用できそう。

次に時代的なバックグラウンドも伝えておきたい。私が就職活動を始める直前にリーマンショックが起きた。知っての通り株価も急激に下がり、状況は最悪だった。リクナビを通してウェブエントリーをして説明会の案内が来て、その数週間後には今年は採用を取りやめると連絡が複数社からあったりと、本格的な面接が始まる前から暗雲が立ち込めていたのはよく覚えている。

就職活動の準備

親しい学内の先輩もいなかったのでインターネットや本を頼りに準備を進めた。「自己分析」なるものをして、自分がどんな人間か見つめ直して、働きたい会社を選定し、それをうまく履歴書に落とし込んで面接にも活かせみたいな流れが主流のようだった。どこで働きたいか何をしたいかということが、大半の学生と同様に何もなかったので、ひとまずそのルールに従い自己分析を行ってみた。

結局それをやってみても、どんな仕事を、どんな会社でしたいかわからなかった。強いて言えば、協調性がなく一人で作業をするのが好きで、組織に属して社会生活を営むのに向いていないとうことくらいだった。結局、今もそれは変わらず、この当時した分析と呼ばれるものの結果は案外当たっていたような気もするが、新卒でいきなり無職になるというのはさすがに考えもしなかった。

理系の研究職ならともかく、このありのままの自分を語ると、コミュ力重視や、協調性の高さを絶対的に良しとする就職活動において不利になることは容易に想像がついた。特にこの買い手市場と言われている状況で、無理に自己分析の結果をそのまま反映させてもうまくいくとは思えなかった。

そこで、やりたいこともないので企業選びの方法を逆転させることにした。自分が入りたい会社を探すのではなく、自分を雇いたいと考えているであろう企業を探すことにした。つまり、自分の能力をどんな企業なら欲しているか、それを軸に企業選びをすることにした。ほとんど偉そうに履歴書に書けることはないが、幸いなことに新卒の就職活動においてはそれなりに評価されるTOEIC 950点があったので、語学力を求めている企業を探すことにした。なお、英語はそれなりにできたが海外や国際的な仕事には、全くなんの興味もなかった。やりたいことという軸はそもそもないので、とりあえずそれなりの企業に就職することを目標とした。

企業の選定

語学力が活かせそうということでぱっと思いつくのは商社だ。海外からものを売ったり買ったりして、語学力は必須のように見える。次に、考えられるのはメーカーだ。企業のグローバル化は既に進んでいて、語学力を有する人材を求めているメーカーも多そうだ。

とはいえ、語学力という軸だけでフィルターをすると大小数え切れないくらいの企業が候補に上がる。100社エントリーが当たり前のような風潮があったが、無駄にエントリーをしても意味がないことは明白だったので、選定の基準に企業規模を入れた。

ある程度以上の規模の企業のほうが給料もよく、労働条件も良さそうに見えたので、簡易なフィルタリングとして、まず東証一部上場であることを条件に入れた。一部上場企業のなかでも差はかなり大きくあるが、ひとまず一部上場しているなら、そこまで悪くないだろうと考えた。次に、規模上限のフィルターも加えた。自分の学歴と能力を鑑みて、一流の大手企業に入ることは現実的ではなく、もし万一入社できてもその後落ちぶれる可能性が高いと思い、誰もが知っているような人気企業や大手企業は外すことにした。そのプロセスを経て、候補企業は30社前後に落ち着いたように記憶している。

学校の試験のような履歴書の作り方

的が絞られたので、次に履歴書(名前を変えて自己PRと呼ばれる場合もある)を作ることにした。履歴書作りのプロセスは、数枚書いて作業化できたので、ほとんど苦労しなかった。

自分の売りとなる魅力を相手の企業に向けて多少アレンジして書くというのが、一般的な履歴書作りの流れだろう。自分ありきで、それをいかによく見せるかという手法を勧めているメディアが多かった。

しかし、この手法が優れているとは思えなかった。なぜならば、就職活動は明確な回答が提示された質問にただ答えるだけの作業のように見えたからだ。その答え合わせに「自分の信じている」長所や特技を反映させる必要はなく、「企業の求める」ものだけを考慮すればいい。これはペーパーテストと何ら変わらない。

企業説明会はいわば授業であり、求める人物像の説明が重要な試験に出るポイント、履歴書や面接はその解答用紙みたいなものだ。企業は大抵の場合、明確に求める人物像というものを掲げている。従って、その内容通りの人間だということを示す履歴書を作れば良いだけだ。

例えば、とある会社で高い協調性と国際的な能力、新しいことに挑戦する意欲を持つ人が求める人物像として掲げられているとしよう。その場合の正解となる自己紹介は、私は高い協調性があり、語学力に長け、新たなことに挑戦するのが好きな人間ですとなる。極めてシンプルだ。自分が何を長所と思っているかというのは正解を出すのに全く考える必要がなく、求める人物と自分が適合しているということを表現すれば良い。言い方を変えて長所はなにか、自己PRをしろ、などと問われることもあるが、考え方は全く変わらない。

次に、それを具体的に説得するための補足説明が必要になる。企業の求める人物像ごとにエピソードを考えていたらきりがないので、基本的には2つ3つの体験で全てに対応する。例えば私の場合、語学というのが一つの軸なので、必ずその話はする。まず、そこで企業の求める項目一つをパス、そしてその語学力を得るプロセスの中で他の求める人物像にも合うことを説明する。

新たなことの挑戦ならば、学部外のことに自発的に取り組んだみたいなことを述べればいい。自分で問題を見つけて解決する能力だったら、独学で施行を繰り返して最適な学習方法を見つけて努力したと答える。一つのことを諦めずやり遂げる能力であれば、TOEICスコアの目標を自ら設定し、ひとつずつ超えてきたとする。

求める人物像の通りの人間だと簡単に言い切れるのかと疑問に思った人もいるだろうが、例の通りそれはさして問題にはならない。 ものごとは常に多面的で、一つの話であっても視点を変えればいかようにも見せることができる。多少の脚色が必要なこともあるかもしれないが、事実ベースの話をするので自身が混乱することもなく、どこでも対応できるようになる。重要なのは相手の見たい面を見せることで、それのみに焦点を絞り履歴書を作った。

心配性の人は、入社後に面接で見せた自分を演じきらなければならず、プレッシャーを感じるかもしれないが、その心配は全く無い。人事がのたまう求める人物像と実際に働く現場が求める人物像が一致することは、まずないし演じきる必要もないからだ。部署には部署の空気感があり、求めるものはそれぞれ違う。

新卒の段階で、直属の上司や同僚となる人間と、人となりが分かる程度に話すことはまずないだろう。企業規模が小さければありうるかもしれないが、ある程度以上であればまず起こりえない。従って、面接と実際の配属先で求められるものは一部の重なりこそあれど、基本的には別物だという理解で問題ない。余談ではあるが、これが転職となると話は異なり、ほぼ間違いなく直属の上司になる人間と十分な時間をとって話すことができる。求めるものや、具体的な労働環境に対して質問をすることができ、転職においては面接はマッチアップという言葉のほうが適切だろう。

就活の終わり

その後の面接でも、私は求める人物像に一致する人間ですと言い続けた。その結果、倍率の低い企業を選んだこともあり、ほとんど面接に落ちることはなく内定もさくさくと得られた。

最後の最後には自分で会社を選ば必要がある。内定は全部で5, 6社くらいだったので(ある程度まで行った段階で途中自体も多々のため)、そこから再度選定を始めた。

あまり働きたくないと常々思っていたので、「楽そう」、「休み多い」のキーワードで探した。ちょうど年間休日140日のおばけ企業がそのプールにあったので、その会社を選び就職活動を終えた。その企業を、一年と少しでやめた別の話はここから。

新卒時の就職活動を振り返るとざっとこのような感じだ。忘却の彼方に消え去る前に文章化。終わり。

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